都道府県知事(政令指定都市・中核市・特例市の区域内の土地では市長、以下同じ)が、宅地造成工事によって特に災害が懸念されるとして指定した区域を指す。本法で規制するのは、この区域内である。
知事が関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地又は市街地となろうとする土地の区域で、宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものを指定することができる。指定にあたっては、当該区域を公示するとともに、その旨を国土交通大臣に報告し、かつ関係市町村長に通知しなければならない。
知事またはその命じた者若しくは委任した者は、指定のため他人の占有する土地に立ち入って測量または調査を行う必要がある場合においては、その必要の限度において他人の占有する土地に立ち入ることができる。この場合、立ち入ろうとする3日前までにその旨を土地の占有者に通知しなければならない。土地の占有者は正当な理由がなければこの立入りを拒否できない。
知事は、区域内における宅地の所有者、管理者または占有者に対し、当該宅地または宅地において行われている工事の状況について報告を求めることができる。この求められた報告をせず、または虚偽の報告をした者は20万円以下の罰金に処せられる。
区域内では、以下に該当する一定規模の宅地造成工事を行おうとする場合(都市計画法による開発許可を受けた場合を除く)、造成主(工事請負契約の注文者、または自ら工事をする者)は知事の許可を受けなければならない。無許可で工事が行われた場合、宅地の所有者と造成主が異なる場合であっても、知事は所有者に対し宅地の使用を禁止または制限することができる。また工事を完了した場合は、知事の検査を受けなければならず、計画を変更する場合は、原則として再度知事の許可(軽微な変更の場合は届出)が必要である。
切土工事において、切土部分に2メートルを超える崖が生じるもの
盛土工事において、盛土部分に1メートルを超える崖が生じるもの
切盛土工事において、盛土部分に1メートル以下の崖が生じ、かつ切土と盛土を合わせて2メートルを超える崖が生じるもの
1~3以外の造成工事で、切土または盛土の面積が500平方メートルを超えるもの
知事の許可が不要な造成工事であっても、区域内において以下の行為をしようとするときは、届出期間内に知事への届出が必要となる。
宅地造成工事規制区域指定の際、すでに工事が行われている場合は、指定があった日から21日以内
高さが2メートルを超える擁壁または排水施設の全部または一部の除却工事を行おうとする場合は、工事に着手する日の14日前まで
宅地以外の土地を宅地に転用した場合は、転用した日から14日以内
工事の許可申請を受理した知事は、遅滞なく文書をもって許可または不許可の処分を申請者に通知しなければならない。知事は工事についての許可に、災害を防止するために必要な条件を付することができる。