意思能力

意思能力とは、有効に意思表示をする能力のことをいい、具体的には自己の行為の結果を弁識するに足りる精神的な能力のことである。
意思能力を欠く人(意思無能力者)の法律行為は無効である(判例として大判明治38年5月11日民録11輯706頁)。民法その他の法令に、「有効な行為を為すためには意思能力が必要である」という旨の定めはない。しかし、私的自治の原則(意思自治の原則)を基本として構成される私法上の法律関係においては、当然の前提とされる。
行為能力とは異なり実定法上に具体化されているものではない。ただし、民法第7条の「事理を弁識する能力」(事理弁識能力)が、この意思能力に相当するものと理解されている。意思能力の有無は、問題となる意思表示や法律行為ごとに個別に判断される。一般的には、10歳未満の幼児や泥酔者、重い精神病や認知症にある者には、意思能力がないとされる。